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colums会長のコラム

会長のコラム 200

4月のコラムです。このコラムで200回目となりますが、特別な事をする積りはないものの今後も続けますので宜しくお目通し頂けますようお願い致します。
4/2 恒例の桜会食は、急な気温低下で開花の長持ちとなり絶好の桜会食、「今年も運があるぞ」とばかりに喜び勇んだのですが、いざカメラを取り出すや電池がエンプティー、スマホの写真となるも、流石に夜桜は無理でした。フルサイズ・ミラーレスも役立たず、何とも冴えないことが多い昨今であります。

4K TV放送開始以前のことですが、書斎用としてTV受像機が必要になり、近い将来を考えて4K 受像機を購入してありました。その放送が昨年暮れに開始され、それではと思いTV 番組表を注目していましたが、興味ある番組が無いのでしばらくチューナーの購入を控え静観していました。しかし、仕事上無視することも出来ないので、購入したTVメーカーのP社製に合わせて、P 社製のチューナー付き録画機を購入し、受信を試みたのでその状況を始めに記します。
この録画機が、思いの他に安くて、2テラ・バイトのアーカイブHDD が内蔵されて、ヨドバシ価格が10万円を切ると言うもの。現用のハイビジョン録画機の半値以下、サイズ、重さも半分以下、持った瞬間何か変だぞとの思いが走りました。セッティングして気が付いたのは、私の軽率な思い違いで、何とこの録画機には、アナログ・オーディオ出力の端子が無いのです。HDMI 端子に音声が重畳されますからTV受像機に接続して使用する限り、実用上に問題ないのですが、高音質アナログ信号を求める私としては、問題ありで軽率でありました。
この辺りの事情を少し考察することにします。メーカーが、本機にアナログ出力端子を設けたとしても、その使用者がハイエンド・オーディオ装置に接続するとは限りません。HDMI 端子から受像機に接続して、充分満足する顧客も大勢居られるわけです。ハイエンド機器に接続となるとDAC 回路やアナログ回路を組み込む必要があり、更にそれをどこまでハイエンド化するか、等と言う問題が発生する訳です。本機では、その機能に付いては使用者側の問題と割り切っていると言うことが想像でき、この問題は商品企画上のことで、企業人として常識と考えられます。つまり、アナログ出力端子を付けるとなると、その必要性から考えてDACのクオリティーをどうするか、続くアナログ回路のクオリティーは、と、ことは大問題化します。その点、本機は光出力端子を設けデジタル信号の出力迄とする、それ以後を必要とする方は高級DAC をどうぞ別途に購入して下さい、とのコメントが込められていると言う事です。企業人たる者の常識を逸した私の行動はお粗末と言うものでありました。
そして、4K 画像ですが、確かに素晴らしい、色が濃い、鮮やか、立体感を感じる、と言うのが第一印象ですが、のど自慢番組や紅白番組、過去の映画再生番組等を見る程度なら現用のハイビジョンで充分と言うのが、私の印象であります。と言う訳で、今後のコンテンツに期待を持って待つと言う事になりますが、それってオリンピック ? 申し訳ないが、それあまり興味無いのです。

昨年暮れの当社新商品のパッシブATT(CM-2000) が、マニアの方に強い関心を呼び、貸してくれとの要望が多く、準備した台数が不足している状況です。本機は、製造に手間がかかり右から左と言う訳には行かず、市場状況を掴めないでいます。
試聴された方からのご意見は、大半がびっくりしたとの絶賛評価を頂いて、音楽ソフトの良し悪しを明確に表現するので、過去の印象と比較するのにレコードを聴き返すのが忙しい、楽しみだと言う方々。その一方で、そこそこの悪い要素は覆って色気が出た方が良いと言う方も居られて、いろいろな方が居られる状況を知るにつけ、音作りの難しさを改めて感じさせられるのです。やはり、良い音の定義は無いと言うこと。「生らしさを求める」と言う原点から考えると、オーディオは個々人の哲学に至る宿命なのかもしれません。

今月の音楽ライフです。
4月7日 日曜 14:00開演で、新国立劇場に オペラ アレクサンダー・ツェムリンスキー/フィレンツェの悲劇、そしてプッチーニ/ジャンニ・スキッキの2本立て公演に行ってきました。2本立てと言っても、それぞれの演奏時間が1時間ですから、間の休憩時間は1回となり、その分終演時間は早く、早い時間の帰宅に何か不消化気味のオペラ鑑賞でしたが、疲労ストレスが無く鑑賞後の余韻が充実しました。
ツェムリンスキーと言う作曲家は、私知りませんでした。1942年に亡くなった人で、指揮者としてウイーン・フォルクス・オパーの首席指揮者として名を馳せ、作曲家としてはブラームスに認められ、その影響下で作曲を続けたとのこと。このオペラ/フィレンツェの悲劇は死後に手稿が行方不明になっていて、遺産管理人が発見したが冒頭部が欠けていたと言います。しかしこの作品は、作曲者が健在中に初演とその後の改作で、生存中に高い評価を得ていたと言われ、私の観劇後感も期待以上のもので有りました。
当日のオーケストラが、東京フィル/指揮 : 沼尻竜典、3人のキャストはテノールとバリトンが外国人で、残り一人がビアンカ役ソプラノの齊藤純子でした。この人は、東京芸大大学院修了後、フランス政府給費留学し、その後はヨーロッパ、アメリカなど世界中のオペラ劇場で活躍している人です。新国立劇場初登場。フランス在住。素晴らしい歌手で、私初めて聞く歌手でした。
そして、ジャンニ・スキッキです。あの有名なラウレッタが歌う「私のお父さん」を砂川涼子、メゾを歌うツィータが東京芸大教授の寺谷千枝子、ジャンニ・スキッキを歌うバリトンのカルロス・アルバレス以外は全て日本人です。素晴らしい公演で、終演後も清々しい気分が残り、新音楽監督の手腕も流石と感じつつ、シーズンの前半分を消化します。後半も新しい演目が続き益々期待でき、この調子で更に来シーズンも楽しみであります。

4月13日 土曜 12:00開演で、高輪オペラの会に行ってきました。この会も今回で30年となる記念すべき公演で、主催者の気合が感じとれるものでありました。
ここ高輪プリンスホテルの経営形態が変わり、毎回ここ「イル・レオーネ」で年3回行われていたこの会も、ここでの開催は今回が最後と言うことです。
演目は、プッチーニ/マノンレスコー。マノン : 野田ヒロ子、レスコー : 泉 良平、
デ・グリュー : 藤田卓也、そしてピアノ伴奏が藤原藍子、そして、台本/構成 : 林 完、といつものメンバーでした。3人のキャストと宇垣さんの語り、ピアノ伴奏と言うシンプルな構成ですが、オペラの趣旨は充分に伝わり、歌手の見事さが加わってお涙頂戴の効果は抜群でありました。
本オペラの会の主催者も高齢化し、これを以て最終としたかったようですが、これだけ回を重ねると周りの環境は簡単に承知する筈は有りません。
会場の「イル・レオーネ」は、本来イタリア・レストランでしたが、ホテルの経営が変わって厨房付きのバンケットルームに変わっていることから、オペラの会として使用するには使用料のレートが合わずに、ホテルからは貸せないとの宣告を受けていたそうで、30年記念の会まで無理言って使用し続けた経過があり、次回からは、ホテル内のフランス・レストランに移り、費用もアップし再スタートとなります。主催者も会員も高齢化し如何なるか、積み上げた実績は大きなものですから、今後も期待に沿ったものになるでしょう。

4月14日 日曜 14:00開演で、エポックなかはら大ホールに川崎交響楽団定期演奏会に行ってきました。前ステージが、ラベル/亡き王女のためのパヴァーヌ、チャイコフスキー/
幻想序曲「ロメオとジュリエット」、そして後ステージがシベリウス/交響曲第2番でした。
指揮が小森康弘、この人東京芸大指揮科を首席で卒業とのこと、神奈川フィルの首席指揮者の川瀬賢太郎も首席卒業ですから、この業界 ? も大変なことだと余計な事を考えてしまいました。
当日の演奏ですが、アマチュアのオケとは言えシベリウスの交響曲は素晴らしかった。コンサートマスター、ティンパニー、管楽器の一部にはプロの奏者が入っていましたが、プロのパーフェクトなオケ演奏とは差があるものの、何か温かみを感じ、曲のニュアンスが良く理解出来て、新たな感動を得たとの思いに至っています。
このホールは、初めての体験でした。収容人員は1000名弱のこじんまりしたもので、その為か中々素晴らしい音響効果でした。しかしホワイエ、フロント、トイレ、などが貧弱で、プロのオーケストラが料金を取っての公演には向かないでしょう。お粗末と言うもの、音が良いだけに残念でした。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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