Phasemation フェーズメーション

colums会長のコラム

会長のコラム 254

R5 年11月のコラムです。

今年のステレオ・サウンド社が主催するグランプリ賞を狙った新商品MA-5000が評価を頂き、賞を獲得出来ました。
オーディオ・評論家先生やファンの方々に、改めてここで御礼の意を表する次第です。
最近のトールボーイ型スピーカーを以て、真空管アンプの性能を引き出す手段は容易ならざる事で、当社の考える音創り手法により、それが具現化出来たことは、何物にも代えがたい思いに浸っています。
しかし、定価の税抜1300万円が気になりますが、我々の求める「音」を具現化した事で、同じ思いを求める、ユーザー様のご理解を頂けるものと確信して居ります。
音楽再生技術の過去を振り返ると、ウエスタン・エレクトリック社の商品に遡ります。この当時は、アンプの高出力化が難しく、効率の良いスピーカーが求められ、「如何に音を遠くに飛ばすか」が技術に求められました。だからこの時代のスピーカーは効率が良く、今の時代でも珍重されるのですが、このユニットを今の時代に作るのは難しい事です。スピーカーの効率に頼らずとも高出力のアンプが容易に実現し、理詰めで良い音創りが可能である事から、敢えて難しいスピーカー効率を求める事は、無駄骨作業となりました。
この様な環境から進化したのが、現在のトールボーイ型スピーカーと考えられ、今に至るのですが、その間にいろいろな方式のスピーカーが世に出てきて、急速に「オーディオ」の音創りに変革が起きたと考えられ、結果として、懐古趣味のジャンルが復活したと考えられます。その最右翼が、ウエスタン・エレクトリック時代のSPであり、今でもこの時代の物を求めるマニアの方は大勢居られます。
さて、真空管アンプによってトールボーイ型スピーカー駆動を制覇しました。現代のこの環境に鑑みて、「スピーカーに問題有り」と私は考えるのですが、何やらここには「手を出すな」との天の声がきこえるのです。
私流の音創りの理想を求める手法として、トールボーイ型スピーカーに対し、我々はチャンネル・アンプ方式を提案するのです。既に、デジタル方式が定着した、この分野で敢えてアナログ式のマルチアンプ・システムにチャレンジし、音楽ステージを想定する、再生音を求め続けているのです。
当社のオーディオ事業スタート時は、デジタル技術こそ理想と思い、CDプレーヤー、DA/ADコンバーター等の商品を世に送り出し、評価を得ました。しかし、音楽有ってのオーディオ機器ではないのか? と言う原点を考えると、その解は、パッシブデバイダー式と「真空管回路のノンNFB方式」に帰らざるを得ないと言う結果に至るのです。
企業人として、安価に機器を提供する義務も考えますが、現時点ではパッシブ・アナログ・デバイター以外に術は無く、その地位獲得に励んで居ります。
と言う事で我々の求める方式に応援の事、宜しく、であります。

今月の音楽ライフ
11月18日 14時開演で、横浜みなとみらいホールに神奈川フィル定期演奏会に行って来ました。当日の演奏曲目は、前ステージが、F.プライス/アメリカにおけるエチオピアの影、コルンゴルド/ヴァイオリン協奏曲 の2曲でした。そして、後ステージがドヴォルザーク/交響曲9番「新世界より」でした。
前ステージのこの2曲は、私初めて聞く曲でした。現代音楽のジャンルに属する曲でしたが、私としては意外にすんなりと聞く事の出来た曲で、少し聞き込んでみたい気がしました。
そして、後ステージがドヴォルザークの交響曲9番「新世界より」です。
指揮が、韓国人の女性でシーヨン・ソン 、この人を私は全く存じ上げて居りませんでした。
サー・ゲオルグ・ショルティ国際指揮者コンクールで優勝し、ジェームズ・レヴァインに指名され、ボストン響のアシスタント・コンダクターを務めることから始めたとのこと、その後、韓国キョンギ・フィルの首席指揮者を務め、国際的に活躍する様になった人です。このドヴォルザーク交響曲といえば、ケルテスのウイーン・フィルが定番的存在ですが、当日の演奏は全くそれとはイメージの違う激しい演奏で、感心しつつも、酔ってしまう素晴らしい演奏でした。イメージの残る間に、早速ケルテスの演奏レコードに針を落としてみました。
ロマン派音楽全盛時代の曲、これを現代の若手指揮者が演奏するとこうなるのか、これもまた素晴らしい演奏であり、音楽の奥深さをしみじみと感じさせられ、音楽を聴く趣味を持った事に改めて幸せを感じた次第です。

11月21日14時開演でオペラ「ヴェルディ/シモン・ボッカネグラ」に新国立劇場に行って来ました。このオペラのストーリーは少し複雑で、字幕スーパーを追いかけていると「何が如何してこうなるの」的で、分からなくなります。私は以前に2度程観劇しており、念を入れて再度ストーリーを熟読しましたので、楽しく観劇しました。
平民と貴族が対立する14世紀半ばのジェノヴァでのこと、シモンは平民派のパオロから次期総督に推される。総督になれば恋仲の幽閉されているフィエスコの娘マリアと結婚出来ると思う。シモンがフィエスコを訪れると二人が生んだ孫娘を引き渡す事を条件とするが、孫娘は行方不明だった。シモンが彼の館に踏み入ると、娘のマリアの亡骸が。
そのとき総督に選ばれたシモンへの歓呼の声が鳴り響く。
まだまだ2幕3幕と続き、ストーリーは思いの他に飛んで終わります。
当日のキャストは、外国人5 名、日本人歌手2名でその一人がテノールの村上敏明で、終演後、当社広報担当顧問の西松氏と懇意とのことで、私と三人で食事を楽しみつつ裏話などを楽しみました。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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