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colums会長のコラム

会長のコラム 227

7月のコラムです。今月は、気候不順の故か、身近な方でご逝去される方が、お二人おられ、そのお二人の葬儀日が、何と! 2つの定期演奏会とバッティングと言う不運に会う、これも何かのご縁かも知れない。それより、何より4歳下の弟の死は、些かショックを受けました。喉頭癌を患い胃瘻介護を受けていたので、覚悟はしていたが、年下の兄弟の死は親の死とは別物の感に、耐え忍びつつ人並みの精神修行を受ける、それも自身のお迎えの適齢期を迎えた宿命と考えるなら、何やら落ち着いて来るから不思議です。
オリンピックが始まり、都心の高速道路は通行制限で、慣れた道が利用出来ない、自宅から埼玉の桶川まで1.5時間の行程を4時間かけての移動には、我慢の限界を超えそうになる、この「オリンピックのケッチン」は、後々、我々の生活環境に尾を引く様で、いやな予感がしてならない。
緊急事態宣言下の斎場でのこと、来場者の順に従い焼香を勧め、済んだらお帰り頂く仕組み、只ならぬ弟の死であり忖度で来た方とは訳が違う、ビジネス・ライクな斎場に対し、「何を考えているのだ」と大声で怒鳴りたくなった。コロナ禍の下で斎場の事情も解らぬではないが。緊急事態宣言下でも馬耳東風とばかりに、無視する輩が大勢いる事も事実であるから、仕方ないのかも知れない。
話は代わるが、もしも戦時体制時にこの緊急事態宣言を発令したとして、果たして戦に勝てるのか、結果は明確である。ここに憲法改正論の正当論まで出てくるのだ。オリンピックに浮かれる若者よ! 「アッ!イケナイ」、政治問題はご法度であった。
それにしてもオリンピックは始まったばかり、早速大量の感染者が発生し続けます。経営に身を置く年寄りは、とかく余計なことを考える、それ故に肝心なことは忘れてしまう。加えて家内の老化進行が、私より速いから、益々気が滅入る昨今の個人事情であります。
このところ、わが社のオーディオ・ビジネスは、前年比から大きく飛躍しています。原因はコロナ禍?と言う説もありますが、それは違います。オーディオ・ビジネスに対する我が社のビジョンが、市場にミートしているからだ、と社員に言い聞かせています。
そのビジョンとやらは何か。「音楽有ってのオーディオ」の真相追求、「物作りの基礎たる技術の磨き」、「技術無くしてシンプル・イズ・ベスト」は望めない。「アナログに特化」は、何時まで持つか、「我が社もデジタル機器に商品生命を掛けた時代が有った」など等、ビジョンに関わる事は、まだまだ、キリが無く有りますよ。
「ビジョン」として一口には言えないものは、音楽への思いが有ってこそオーディオ・ビジネスであり、蒸気機関車の音、雷の音、ガラスの割れる音、私に言わせるとナンセンスであり、この様なご趣味の方は、お客さまとして歓迎致しかねます。これも掲げるビジョンの内なのです。

話題を変えます。昨年、イコライザー・アンプのEA-2000 を発売し、オーディオ各誌から最高の賞を頂きました。商品の売り上げは、6筐体から成るイコライザー・アンプということで、置く場所が無いとか、音が良いことは確かであるが、「使用勝手が悪い」とのことで、海外向け出荷は、性能評価に比例して、そこそこの出荷台数ですが、国内の出荷は音質に比例する売りに至っていません。
と言うことで、その良さを生かしつつ使い勝手を改善し、大幅なるコストダウンを図った商品、EA-1000の後継機を計画し、その開発途上が「今」です。一部の評論家先生のご意見をも頂きつつ、設計作業に係っています。EA-2000の性能を維持しつつ如何にコストを下げ、使用環境の改善を図るか、ここに新たなる挑戦に挑む、技術陣の知恵に対し、請うご期待と言う処であります。

今月の音楽ライフです。先に触れた事情から、新国立劇場のオペラ「カルメン」と、神奈川フィル定期演奏会のカルッツ川崎での公演は、社員に与えて仕舞いました。
そして、行くことが出来たのが、神奈川フィル定期演奏会 音楽堂シリーズ「モーツァルト・プラス」と称するコンサート1件のみでした。
7月3日土曜 15:00 開演で神奈川県立音楽堂に行ってきました。当日の演奏は、コンサートマスターの﨑谷直人による、弾き振り。そしてピアノ演奏が、沼沢淑音(ヨシト)。
演奏曲目が、J.シュトラウスⅠ/ドイツ統一行進曲、モーツァルト/ピアノ協奏曲24番ハ短調 K.491、ウェーベルン/弦楽四重奏のための緩徐楽章、そして後ステージがベートーヴェン/交響曲5番「運命」でした。
如何ですか、弾き振りの﨑谷コンマスの「モーツァルト・プラス」と題したコンサートの意義が読み取れますね。ピアノ演奏の沼沢淑音は、桐朋学園大学ディプロマを経て、ロームミュージックファンデーションの奨学生として、2015年にモスクワ音楽院を卒業。有名国際音楽祭に優勝、入賞し、賞賛され国内での活動も多い人です。
県立音楽堂の音響は、相変わらず素晴らしい。ここでのコンマス﨑谷の弾き振り、神奈川フィルのベートーヴェン/運命は、特に素晴らしかった。手垢の付いた、と言えば名曲に失礼であり、品が疑われる表現であること承知の上、現代感覚に優れた﨑谷の演奏はすばらしかった。ベートーヴェン/交響曲「運命」の新たなる側面に「如何だ ! 」と言わんばかりの演奏に興奮冷めやらず。指揮者の心が表れているように感じるコンサートでした。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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