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colums会長のコラム

会長のコラム 219

11月のコラムです。
10月31日神奈川フィルの定期演奏会に横浜みなとみらいホール、そして11月15日の新国立劇場の公演、何れも14:00開演で行ってきました。更に今月は、新国立劇場公演として、11月29日14:00開演でオペラ/こうもりが予定されています。この公演は日取りの都合で次月の掲載とします。
コロナ禍の下で、久しぶりのコンサート、両公演とも、主催者の気遣いが何とも痛々しく感じつつも、音楽愛好者の興味をそそる最高の公演でした。この興奮を鑑みて、今月に限り技術の記載は、気が進まない心境に至って居り、割愛させて頂きます。

神奈川フィルの定期公演

指揮 : 小泉和裕
ヴァイオリン : 三浦文彰
首席コンマス : 石田泰尚 ソロ・コンマス : 﨑谷直人
演奏曲目 ワグナー/歌劇「リエンツィ」序曲
ブルッフ/ヴァイオリン協奏曲第1番
ブラームス/交響曲第2番
以上の3曲でした。指揮者の小泉和裕は、神奈川フィルの特別客演指揮者で、この人の演奏曲目は、毎回毎に既存名曲を選ぶことが多く、当日のブルッフ/ヴァイオリン協奏曲は、特に興味深く期待した曲でした。
ヴァイオリンのソリスト三浦文彰は、2009年ハノーファー国際コンクールに於いて、史上最年少の16歳で優勝し、その後世界の有名オーケストラ、指揮者との共演を行っている、日本の若手奏者であります。その氏が、V協の名曲中の名曲、世界の名だたる奏者の名演奏が記録に残る、この曲を演奏するのですから、私としてはもうタダ事ではなく、落ち着かない状況でした。
この曲に付いてですが、私はアッカルドの演奏が好きで、手持ちレコードの録音が良いことから、オーディオ機器の試聴時に必ず聞く曲なのです。しかも三浦のヴァイオリンは、ストラディバリウスですから、私の職人根性も穏やかでは在りません。加えて、神奈川フィル定期演奏会の定席で聴くのです。
さて、その演奏であります、やはり若いだけに、アッカルドとは一線を画す現代的演奏であり、ボッチャー(若手古楽器奏者) などと或る意味で通じるものが有るものの、その風格は大物でありました。そして我々のオーディオ機器の醸す「音」との差は、更なる伸びしろの存在を感じ、良い音を求めるファイトが涌いて来ると言うもの、歳を顧みない心境に至るのです。
ブラームス/交響曲2番、この曲は、ブラームスがベートーベンの威圧に苦しんだ後、ベートーベンへの思いから解放された、ブラームス自身の思い、これを自由奔放に表現した曲と言われ、1番にも増す重厚さも持ち、交響曲の名曲として残る作品の一つです。当日の贅沢な選曲に感謝しつつ、久しぶりにストレス解消の時を過ごしました。
11月15日 日曜14:00開演で新国劇場に「オペラ/アルマゲドンの夢」に行って来ました。
日曜の午後のマチネ演奏会で、1時間40分の演奏、しかも休憩無しの公演ですから終演時間が早くなり、居住する施設の夕食に充分な余裕を持っての帰宅時間となり、優雅そのもののコンサートライフでした。終演後は、本来であれば、馴染みのレストランと言う事なのですが、気になるコロナが怖い、老人施設の住人を意識すると尚怖いのです。
さて「アルマゲドンの夢」です。このオペラ作曲者の藤倉 大 は、1977年生まれの大阪市出身、15歳で渡英しその後の成果などから見ると、秀才以上の天才をイメージする経歴の人で、その業績たるは、我々素人の知らない世界とは言え、この音楽界では大変な業績の様です。私の様な一介の音楽ファンが知る世界とは、別次元の人と感じます。
本作品は、新国立劇場の音楽監督の大野和士の委嘱によるものとのことです。題名の「アルマゲドンの夢」は、今の世相、米国と中国の覇権争い、ヨーロッパ諸国の争い、イスラム諸国の問題、香港の問題など、山積する現代に生きる我々世代に酷似している、この点が気になるオペラです。
題材は、H.G.ウェルズが1901年に執筆した、短編集「世界最終戦争の夢」を題材にしたもので、想像以上に古い話には驚きです。それが、今に通じる題材であるところがミソと考えるなら、人間の「性」を表現した芸術なのでしょう。そのストーリーは、胎動するファシストと自由を求める識層庶民の争いを夢物語として訴えるもので、直近の事件である中国と香港、更に米国と中国、そしてイスラム国との関係など、我々が近未来に遭遇するであろう、身近な問題を思わせるものです。
オペラ観劇の感想は ? と問われるなら、不協和音の連続、メロディーらしきものは無い、しかし観劇の間は眠気どころか緊張のし通し、問題の表現は流石に的確であり、訴える力は流石と言うもの。しかし、「オペラ/トラバトーレ」、「ナブッコ」のような音楽の「力」を感じるには、私のヴェルディー、プッチーニに偏った鑑賞力では無理なのかもしれません。
今月は、この後11/29 新国立劇場で「オペラ/こうもり」の公演が予定されています。この公演は、次月の掲載とさせて頂きます。
そして、今年の新商品状況もあります。発表時から注文が入ると言う有難い状況で、当社の商品力が信頼された証しと考えます。詳細は次月のコラムでお会いする時に宜しく、であります。

鈴木信行 :すずき のぶゆき

昭和45年勤務先のアイワ株式会社をスピンアウトして独立。

磁気記録に関る計測機器の製造販売の事業を開始し、その後カーエレクトロニクスの受託設計の事業を始める。

何れの事業も順調に発展したが、会長の永年の思いであった、ハイエンドオーディオの自社ブランドを立ち上げ、現在はカーエレクトロニクスの事業を主とし、協同電子エンジニアリング(株)として運営している。

現在、協同電子エンジニアリング(株)の取締役会長として、趣味のオーディオを健全に発展させたいと真摯に研究し、開発に勤めている。

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